2022年4月21日(金)、株式会社BOKURAでは、ユースキン製薬株式会社・高嶋俊継氏をゲストとしてお迎えしたファンマーケティングセミナーを開催しました。
今回は、セミナーのトークセッションで話された、BOKURAメンバー3名とユースキン株式会社・高嶋俊継氏が実感する、ファンマーケティングの重要性と効果についてご紹介します。
約3分半の切り抜き動画もございますので、併せてご確認ください。
【第一部】BOKURAメンバーによるトークセッション
実際のファン創りを通して印象に残っていることは?
第一部では、BOKURAメンバー3人の印象に残っている出来事を話しました。
平田 亜季(入社5年)
岡田 優香(入社4年)
久木田 愛理(入社8ヶ月)
「ファンの広告塔化」を体験
【BOKURA・久木田】
商業施設系のクライアント様を支援しているのですが、Instagramで施設や商品に関する投稿をしてくれているユーザーに接触すると、とても喜んでくれたことが印象に残っています。
接触をしたことで、積極的に次から次へとハッシュタグをつけて投稿をしてくれるという、まさに、ファンの広告塔化を経験しました。
このクライアント様は、「施設自体のファン創りは難しい」と考えておられたのですが、実際に接触を図ってみると、「施設大好きです!」という反応が多く得られたことも印象的でした。
「ファン同士の深い関係作り」の助長
【BOKURA・平田】
あるクライアント様のファン作りの一環で、アウトドアイベントを行ったのですが、このイベントがとても印象深いです。
イベント開始直後は、参加者同士が初めましての状態だったので、よそよそしい感じだったんですね。
ただ、イベントが終わりに近づくにつれて盛り上がっている様子だったので、「何でだろう」と思い聞き耳を立てていると、「〇〇さんのSNSフォローしていたんです!」のような会話で盛り上がっていたんです。
その後は、連絡先も交換して、ご飯に行く約束も交わしていました。
イベント企画をしたことで、オンラインで繋がったファン同士が、オフラインでより深く繋がりを持てたという体験なのですが、これがすごく印象に残っています。
「まさにDAO」の体験
【BOKURA・岡田】
まさにDAOなんですけど、スーパーマーケットの支援においての出来事が印象深いです。
どんな内容かというと、スーパーで取り扱ってほしい商品について、ファンの一人がSNSで自発的にアンケートを取ってくれたという内容なのですが、アンケート調査をした後には、公式アカウントをメンション(@=通知)して、ユーザーが求めている商品を(公式アカウント宛に)お知らせしてくれました。
これをクライアントさんに伝えると、その商品を入荷しようという話になり、実際に、商品の入荷・販売を開始。そのファンの方が、店舗にまで買いに来てくれて、商品の画像をSNSにアップしてくれて…。と、特にお客様に投稿依頼を出したりはしていないのですが、とんとんと推奨行動が進んでいき、クライアントの担当者さんも、私も嬉しくなる経験でした。
BOKURAでは、指示命令されずとも能動的に動く人・組織をDAOと定義付けていますが、まさにDAOそのものを表す方でした。
【第二部】ユースキン製薬・高嶋氏によるトークセッション
第二部では、ユースキン製薬株式会社より、高嶋俊継氏をゲストに迎えてBOKURAメンバーとのトークセッションを展開しました。
ユースキン製薬株式会社は、昭和30年創業。医薬品、医薬部外品、スキンケア製品等を製造・販売しています。
従来、一人ひとりのお客様を大切にされてきた企業で、マーケティング関連に投資する費用は少なく、SNSコミュニケーションやシェアツールを活用したロイヤルティの見える化などを行っています。
本セッションにご登壇いただいた高嶋氏は、1999年にユースキン製薬に入社して以降、広報・マーケティング関連の部署に長く所属し、現在は、企画部コミュニケーショングループ マネージャーを務められています。
テーマ1: どうやってSNSを活用したファン創りを導入したの?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
ポイントは、上層部をプロジェクトに巻き込めたことです。
ユースキン製薬は、顧客1人1人(1to1)とのコミュニケーションを重んじる会社であり、もともと広告にかける予算は少なかったため、自分たちだけでSNS運用を進めることは難しい状況でした。
それでもSNS運用をやりたいと思っていた時に、弊社の社長がBOKURAさんと出会いました。
BOKURAさんは「とにかく社長を巻き込んでしまおう」というスタイルでしたので、BOKURAさんと一緒に社長を巻き込めたことが、SNS運用を始められた大きな要因です。
とは言え、SNSは急速に普及しており理解しづらい部分もあるので、社長自身に、内部でのMTGやファンミーティングに参加してもらい、伴走して理解してもらいながら運用を進めています。
他社の方がファンマーケティングを導入する際でも、とにかく上層部を巻き込んでしまえば良いと思います。
(上層部との)距離が遠い企業であれば、少しずつコミュニケーションを取り、距離を近づけていき、巻き込んでいく。社内でのファンマーケティングです。
ファンマーケティングは、信頼とか愛着といった言葉で表せますが、社長に愛情や信頼を持ってもらいたい人は多いと思います。
それこそ、社長へのファンマーケティングができると、SNSはもちろん色々な仕事を自由に任せてもらえるようになるんです。
自由にさせてもらえるようになると、社員には自ずと責任が生まれ、誠実に対応しようという心づもりが生まれます。
テーマ2: 不具合などのお知らせがあった場合はどうしますか?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
「誠実 謙虚 勇断」という社是にもある通り、誠実で正直な対応をします。
ファン=親しい友人だと思っていますので、ミスを指摘してくれたことに対する感謝を持って、過失に対して正直なことを伝えます。
意見してくれる方をクレーマーと表現する会社もありますが、私たちはミスを指摘してくれているファン・友人だと思っているので、どんな指摘にも感謝の気持ちを持って対応をしています。
その上で、お知らせしてくれた方は何か不安を感じているはずなので、過失に対する調査は行いつつも、クイックレスポンスを心がけて、不安に寄り添い続けます。とにかく誠実・正直に。
人間関係も同じですが、全てをさらけ出して好きになってもらうことが重要なので、会社として大きな態度を取ることはせず、ファンと同じ目線で寄り添います。
テーマ3: 新規ジャンルのファン創りで意識していることはありますか?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
ユースキン製薬の場合は、基本的に新しい商品のファンを創る取り組みも、既存ファンに知ってもらうことから始めます。
ユースキンに対する愛着など、ベースにあるものの積み上げをして、既存ファンの強いファン化ができるように取り組んでいます。
また、ユースキン製薬は、商品のパフォーマンスが高いことに自信を持っているのですが、質が高いというベースがあることも、ファンの創りやすさに繋がっているとも思います。
テーマ4: ファンマーケティングでどんな効果を実感していますか?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
SNSのフォロワー数の増加は簡単に把握できますが、運用する目的はファンとの距離を近づけたいことなので、単純に、公式アカウントからのリプライに、ファンが喜んでくれることは嬉しいですね。
あとは、ハンドケア大使と言うユースキン製薬のアンバサダーにスカウトした際に、アンバサダーが何事も率先して活動してくれたこととか、交流会を実施してファン同士が仲良くなったこと、SNS上でも交流し合って自然発生的に仲良くなってくれたことなどは、ファンマーケティングを実施してよかったと実感しています。
テーマ5: ファン作りは筋トレに似て時間がかかります。
業績に影響があるのかを可視化しづらいですが葛藤はありますか?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
広報の部署なのに、売り上げに結びついているのか分からないので、最初は葛藤がありました。
会社が評価しづらいことはもちろんですが、商品が売れないと、広告や販促活動が悪いんじゃないかと気にしてしまってもいたんです。
ただ、アンバサダーにスカウトすると、スカウトされたファンは喜んでくれて、商品を買ってくれて、商品を紹介してくれて、他の方が買ってくれて…、この流れがどんどん可視化できてくると、やっていてよかったなとなりました。
Twitterを使うことでユーザーの口コミや評価が可視化できたので、「KPIとして売り上げに直結しているよ」ではなくて、「ファンのロイヤルティが上がるから売り上げに繋がるよ」という見せ方ができるようになりました。
もともと口コミありきの会社だったので、広告を活用した発信などはしていましたが、これまでは伝わっていないことの方が多かったと思います。
それが、BOKURAさんに、コミュニケーションが大切だということ、SNSは発信のツールではなくコミュニケーションのツールだということに気づかせてもらったおかげで、良い方向に進んでいると思います。
加えて、BOKURAさんのシェアリングツールを活用すれば、今以上に、ユーザーの評価が見える化できるようになると期待しています。
テーマ6: ファン作りで苦労したことってどんなことがある?
【ユースキン製薬・高嶋氏】
ネガティブな声を見つけた時に、運用当初は一喜一憂しました。
ただ、なぜその人がネガティブな発信をしているかを考えると、好きだからこそ苦言を呈す人が多いと思っています。
なので、誠実に対応すると苦言を呈してくれている方でも、よりファンになってくれるのではないかと思ってコミュニケーションを取っています。
慎重になりすぎて長い文章を送ってしまうとか、DMとコメントどっちが良いのかなど悩むことはありますが、トライアンドエラーなので、誠実に対応していれば大きな炎上にもつながらないと思っています。
あとユースキン製薬の課題は、インナーブランディング、インナーコミュニケーションです。
ファンマーケティングの取り組みをして、可視化できていることが財産であることを知れば、社員のモチベーションアップにも繋がると思うので、社内向けに広報を行うことも重要だと考えています。
過去には、お客様の発信を社内で共有すると、営業担当が商談で披露してくれて、商談先企業が興味を持って商品を買ってくれるということもあったので、ここは力を入れていきたいです。
テーマ7: 今後やりたいこと
【ユースキン製薬・高嶋氏】
ファンは情報を知りたいという思いが強いので、求められている情報を届けたいと思っています。
あとは、ファンと一緒に何か作り上げることで、ファンのモチベーションは上がると思うので、運営側としてイベントに参加してもらうでもいいですし、実際にイベントの企画運営もやりたいです。
第一部でオフラインイベントで会うという話もありましたが、まさに今、リアルで会うことの大切さを実感しています。
デジタルにシフトすると楽ですが、人の暖かさや雰囲気などが伝わりづらいので、手間をかけてでもオフラインを重視する必要があると感じているんです。
ファンに会議をしてもらうことまでやっている企業は少ないはずなので、ユースキン製薬としては、色々な取り組みを自社の色を出して、トライアンドエラーでやっていきたいです。
まとめ
ファンマーケティングは、直接的な売り上げには繋がりづらいです。
ただし、筋トレのように地道にファンを作り、満足度を高めることで、ユースキン製薬様のようなファンに愛される企業作りに繋がります。
BOKURAでは、今後もファンマーケティングに関するセミナーを開催していきたいと考えていますので、ご興味のある方はご参加くださいませ。
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